2011年11月17日

その視線の先には

中川学童通信『てだのふぁ』№96より 

 穏やかな秋の一日、先日はいい運動会でしたね。
そんな中、私はいいシーンをたくさん観ることができましたが、皆さんはいかがでしょうか?次の瞬間は、これはきっと私しか目撃していないシーンなので、幸せのお裾分けをしますね(笑)。

 今回、成績はというと、準優勝!という8チームぐらい出ていれば素晴らしい成績でしたが(笑)…。こうした中、最後のリレーを制した女子チーム。ゴールテープをきった当知学童の6年生・Mちゃん、ひとしきり当知の女の子同士で喜びを分ち合うと、彼女を先頭に当知の女子が中川からリレー選手で出場していたM喜・M可・A子のもとに駆け寄り、
「ありがとうね」
と一言。そして、飛びっ切りの笑顔で、
「みんなが、がんばってくれたから(一位になれたんだよ)…、ありがとう」
と。これは思わず時間を止めてしまいたくなるような、ステキな光景でした。本当はここで一緒に写真を撮ることができれば良かったのですが、残念!

 ちなみにそのMちゃん、お母さんが合同運動会実行委員なので、実行委員会についてきたときは、奥部屋で他学童のちびっ子たちの保育も(笑)。だから、実行委員会・開催案内メールに対して、他学童のお母さんから次の返信がありました。
「また親子で参加予定ですので、よろしくお願いします。どうやら、子どもたち同士も親交ができているような…。(子連れで会議に参加すると)帰りが遅くなってしまうので、翌日が心配でしたが、楽しい時間を過ごしていたみたいです」

これが学童力で、学童は違えども、
まさに昼間の兄弟です。

 さて、今回の私のイチオシシーンは、上の写真です。
この時の皆さんの表情、そして笑顔は、お一人お一人が本当に優しく、やわらかく…、その視線の先には6年生のパン食い競争が。
 合同運動会前日、三宅島の練習が終わった時、Y斗のお母さんから、
「お話があります」
と。こんな時は何だろうと本当にドキドキします。そんなお母さんのお話は、
「(6年生だけど)パン食い競争に出られませんか?」
というものでした。
「…」
一瞬言葉につまり、きっとその時は目が点になっていたであろう私に、お母さんは続けます。
「うち、一年生の後半に(中川)学童に入ったでしょう。だから『パン食い競争』に出ていないんです。もちろん、わがままだってわかっています。でも、この子をオンブできるのは、もうあと僅か…。きっとこれが最後のチャンスだと思うんです」
このお母さんからの思いがけないお話しに、6年生が人前で母にオンブしてもらうなんて、思春期まっただ中の男子が、特に、今頭の中は○ッ○なことなどで溢れているY斗が快諾するとは思えないので、
「そうですか…、でも本人が嫌がるんじゃないですか?」
すると、
「あの子、やるって言ってくれたんです」
「そうですか…」
しかし、どうしても1年生にまじって6年生がパン食い競争に出ているシーンは想像できないので、しかし、お母さんのすがるような眼差しに、
「わかりました。でも私の一存では決めることができないので、相談させて下さい」
 ソウダン…。とはいうものの、きっと途中入所で1年生種目の『パン食い競争』を経験していない子は他の学童にも居るだろうし、このことは実行委員会で論議することでもないだろうし、相談させて下さいといったものの、この時は、“誰と”“いつ”相談するのかも含めて、具体的な方策はありませんでした。
 「ダメだったらダメでいいんです。でも今お話ししておかないと、伝えるときがないので…」


 もしかしたら、こうしたY斗のお母さんの想い、わがままだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、Y斗の生い立ち、そして運動会当日にも紹介しましたが、入所した学童が1年生の秋に閉所し(8月には機能していなかった)中川学童に遠方から通い続けたこと、3年ぐらい前でしょうか、お母さんが手術・入院されたことなど…、お母さんのお気持ちは痛いほどわかります。


 最初は両手の手のひらの上にのっていた我が子。やがて一人で歩き始め、でもオンブもダッコもできた我が子。いつの間にかそんな我が子が親の身長と体重を追い越し、いつしかオンブやダッコすることもなくなり、逆に、何年先だろう?我が子に背負われる日が来るのは…。
 ここ数年、閉会式終了後、多くの学童が集合写真を撮っているので、片付け開始までにブランクタイムがあります。そこで当日!突然の提案であったものの、皆さん、ご協力ありがとうございました。即席のゴールテープまでも用意して下さったんですね。
 やわらかな午後の日差しの中、Y斗もT貴も、そしてS木さん、H井さんも本当に嬉しそうでしたね。そしてそんな4人を見つめる皆さんの笑顔、これもまた本当にステキでした。

   6年 Y斗
 学童合同運動会では、母さんが、ずっとオレと、きょうぎに出たいといっていたので、最後のパンくいきょうそうができてうれしかったと思う。リレーでは全力で走ったのできもちよかった。


 その視線の先には、きっとまた、今までよりも強くつながったみんなの想いがあることでしょう。


 合同運動会に参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。
 実行委員長の大役を担われたO矢さん、そして実行委員のO賀さん、ありがとうございました。
さぁ、次は大地の舞で子どもたちの輝きを確かめましょう。
全力で走ったというY斗、早かったですね(#^.^#)。
もしも~は禁物ですが、第一コーナーで接触し、
アウトコースへはじき出されなかったら、男子チームも勝っていたかもしれませんね。
 

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